はじめに
最近、「ビジョントレーニングは特定の団体でしか学べない」「他で使ってはいけない」「他団体の資格は無効になる」といった内容が掲載されたホームページを見たという方から、当協会に多数のご相談が寄せられています。
実際に寄せられているご相談内容(一部)
・「他団体で学んでも意味がないのですか?」
・「他で資格を取ると使えないと聞きましたが、本当でしょうか?」
・「御社は正規の団体なのですか?違法になりませんか?」
・「子どもに活かしたいのですが、使ってはいけないのでしょうか?」
これらの問い合わせは、当協会の会員の方々だけでなく、初めて学びを検討される一般の方々からも寄せられており、対応に多くの時間と人手を要し、本来業務に支障をきたす事態となっております。
問題の経緯と当協会の対応
当協会では、過去に「ビジョントレーニング®」という商標の使用に関して、ある団体から「一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会」との名称表示、協会 WEB ページ、Facebook 上のアカウント名、YouTube 上のチャンネル名、X(旧 Twitter)上のアカウント名における商標「ビジョントレーニング」の使用、協会 WEB ページ、上記各種 SNS 等上の説明文中の商標「ビジョントレーニング」の使用の停止を求める主張を受けたことがあります。
これに対して当協会の顧問弁護士を通じ、商標法にもとづいた法的見解を正式に回答しました。その内容では以下の点が明確に示されていました:
法的な見解(弁護士による説明の要点)
商標法第26条では、以下のような場合には商標権の効力が及ばないことが明記されています:
・「ビジョントレーニング」は既に一般用語化しており、教育や支援の文脈で広く使用されている
・商標法第26条の規定により、一般的な用語についての商標権の効力には制限がある
・他団体がその言葉の使用を制限するような主張を行うことは、法的に成立しない
その後、相手方からの主張は取り下げられましたが、現在も一部ホームページ等で、誤解を生みかねない記載が残されている状況が続いています。
当協会としては、今後も必要に応じて、丁寧な説明や法的見解の提供を続けるとともに、関係者の皆様に正しい情報が伝わるよう努めてまいります。
したがって、「ビジョントレーニング®」という商標を有することと、他者の学習・実践・指導・表記の自由とは、法的に区別して考える必要があります。
詳しい見解や、専門家による説明は、以下のリンクよりご確認いただけます。
商標法 第26条(e-Gov法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000127#Mp-At_26
当協会の立場
私たち一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会は、「子どもの未来を科学する」という理念のもと、支援者の方々や保護者の皆さまと共に、子どもたちの発達や可能性を広げる活動を行ってまいりました。
これまで、他団体の取り組みや考え方を否定することなく、それぞれの団体が持つ独自の特色や方法を尊重しながら、あくまで私たち自身の理念とメソッドに基づき、真摯に活動を続けてきたつもりです。
しかしながら、近年、特定の団体による表現や主張が、学びたい方や支援を実践している方々に不安を与える状況が見受けられるようになりました。
当協会としては、そのような誤解や混乱が広がることを大変心苦しく思っており、これ以上、学ぶ意欲や現場での実践にブレーキをかけるような状況を看過できないとの思いに至りました。
本来であれば、こうしたことは水面下で解決することが望ましいと考えておりましたが、これまで弁護士を通じて適切な対応を行い、その結果、相手方からの主張が撤回されたにもかかわらず、当初のままの表現が修正されないまま掲載され続けている事実があります。
このような現状の中で、学ぶ人・支援する人・そしてその先にいる子どもたちが、少しでも安心して前に進めるよう、正しい情報を冷静かつ誠実にお伝えする責任があると私たちは考え、今回このように立場を公にお伝えすることにいたしました。
決して他団体を否定したいのではなく、あくまで皆さまに「安心して学び、支援に取り組んでいただきたい」という一心であることをご理解いただけましたら幸いです。
なぜこのお知らせを掲載するのか
当協会では、日々、子どもたちの未来のために力を尽くす支援者の方々や、学びを深めたいと願う一般の皆さまから、数多くの真摯なご相談をいただいております。
中でも最近は、「この団体でしか学べないと書かれているが、他で学ぶのは間違いなのか?」「ビジョントレーニングと名乗るだけで問題になるのか?」といった、不安や混乱を抱えるお問い合わせが相次いでいます。
こうした声に対して、私たちは一件一件丁寧に対応し、必要に応じて法的な根拠も示しながら安心していただけるよう努めてまいりました。しかし、そのような対応が日常業務を圧迫するほどに膨らみ、本来注力すべき「支援の質の向上」や「新たな学びの提供」への時間が削がれているのも事実です。
また、誤解を招くような情報がインターネット上に残されていることで、受講を検討されている方の判断に影響を与えたり、既に支援者として活動している方が不安を感じ、自己肯定感を損なってしまうようなケースも発生しています。
このような背景をふまえ、私たちは今回、誤解を招かないような表現と、法的な見解を丁寧にお伝えすることが、
・学びたいと願う方々への安心
・支援者として活動する方々への敬意
・子どもたちのためのより良い社会づくり
につながると信じ、このお知らせをホームページ上に掲載する決断をいたしました。
争いを望むものではなく、安心と調和を生む情報提供として、そして何より「現場で子どもたちに関わる方々を守るための、必要最低限の防衛策」として受け止めていただけましたら幸いです。
最後に~私たちの思い~
近年、「ビジョントレーニング」という言葉を使って活動する団体や企業が全国的に増えてきました。
資格発行をおこなうところ、インストラクション技術を教える会社、地域に根ざした教室運営、コミュニティ支援など、その形態もさまざまです。
私がビジョントレーニングの活動を始めた頃は、今のようにまだまだ認知されてなく、そこから思うと心から嬉しい限りです。
私たちは、今広がりを見せるビジョントレーニングの多くが、ルーツを辿れば、同じ「源流」に近い部分を共有しているのではないかと感じています。
たとえばアメリカにおけるオプトメトリーの分野や、それを海外で学び、日本で伝えてきた先生方の存在です。その源流を辿れば、根本にある目的や考え方には多くの共通点があります。
日本には「オプトメトリードクター(アメリカでの視機能の専門職)」という資格制度は存在しませんが、その知見をアメリカで学び日本に持ち帰った専門家の方々が、現場の支援に応用しながら実践を重ねてきました。そしてそこから、支援者一人ひとりが、自身の経験や価値観、現場での試行錯誤を通じて発展させた「独自のメソッド」が生まれ、現在のように多様なアプローチが存在する時代へとつながっているものだと思っています。
この広がりは、まるでひとつの思想や哲学が、時代や土地を超えて多様に発展してきた歴史を思わせます。
文化や風土、時代背景に応じて信仰の伝え方や形が異なるように、ビジョントレーニングもまた、支援者それぞれの歩みによって視点の違いや考え方の違いなど、それぞれの特徴を持って多様性を育んできたのです。
そして私たちは、このような多様性こそが、利用者にとっての豊かな選択肢となり、一人ひとりに合った支援につながると信じています。
大切なのは、源流を敬いながらも、枝葉の違いを否定せず認め合う姿勢です。
争いや否定ではなく、共に学び、育て合い、手を取り合って進むこと。
それが、私たちの目指す「支援者のあり方」であり、「ビジョントレーニング」の本物の未来だと信じています。
だからこそ、他を否定するのではなく、それぞれの支援が誰かの役に立ち、喜ばれ、笑顔を生むものであるならば、それはすべて「善き支援」なのではないでしょうか。
ビジョントレーニングは、困り感を抱えるお子さんへの発達支援、アスリートのパフォーマンス向上、一般の方の脳力開発など、あらゆる方々の可能性を引き出す手段の一つです。そして、その実践者・支援者は、誰かを応援したいという温かな志を持った存在であり、愛と誠意をもって人に寄り添う人たちです。
そのような方々が「正しい・間違い」「良い・悪い」と争い合う必要はないと、私たちは考えています。
宗教においても、信者がその教えによって心安らぎ、幸福に向かって生きられるのであれば、その道を選ぶ自由が尊重されるべきです。ビジョントレーニングも同じように、多くの選択肢があってこそ、自分に合ったものを選び、自分らしく実践できる社会であってほしいと願っています。
私たちはこうした多様性こそが、利用者にとっての選択肢を広げ、一人ひとりに合った支援につながり、結果の出る支援へ繋がると信じています。
ビジョントレーニングには多様なアプローチがあり、それぞれの支援者が自身の経験や哲学に基づいて工夫を重ねてきた歴史があります。そして、その多様性こそが、支援を受ける子どもたちにとっての選択肢を広げてくれる、大切な価値であると私たちは信じています。
その中でも、私たち一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会が伝えているメソッドは、「子どもの心の状態(メンタル(自己肯定感や自尊心))」を最も重要な起点として考える支援です。
私たちの考える支援とは、単なる“やり方”ではなく、「何が原因でできないのか?」「どうすれば進めるのか?」という“見立て”と“関わり方”に重きを置いた、支援者自身の在り方そのものを問い直すものです。
そのために当協会では、心理学・脳科学・神経科学・行動科学・認知科学、キャリアコーチングといった科学的な知見やノウハウをベースに、理論と実践の両面から支援者の運営スキルを育てる「支援者メソッド」を体系的に伝えています。
この支援者メソッドは、単に技術を伝えるだけではなく、現場で本当に子どもに寄り添い、結果を出せる支援者としての“軸”をつくるための、土台となる考え方と行動の在り方を磨く内容となっています。
私たちは、ビジョントレーニングの「源流」への敬意を忘れず、しかしその上に新たな実践を積み重ねてきたからこそ、今の時代に合った、心ある支援ができると確信しています。
道具より「腕前」。
そのことを大工さんにたとえるなら…
どんなに高価で優れた道具を持っていても、それを本当に活かせるかどうかは、「大工さん自身の腕前」にかかっていると思います。
ここで言う「腕前」とは、「長年にわたって積み重ねてきた知識」「現場での試行錯誤を含めた体験」「成功も失敗も含めた経験の蓄積」「現場による実践の量」。重要なことは、それらすべてが合わさった「総合力」であり人間力」だと思うのです。
同じ設計図を見ても、初心者と熟練の大工では、完成する家の質がまったく違うように、ビジョントレーニングもまた、同じメニューやツールを使っていても、支援者の理解の深さと経験によって成果が変わると思います。
だからこそ私たちは、プログラムといったツールに走るのではなく、「それを誰が、どういう意図や狙い目的を持って活用するのか」ということを何より大切にしています。
「多様な時代に、変わらぬ想いを。」
私たち日本ビジョントレーニング普及協会は、「ビジョントレーニングは素晴らしいものである」という信念のもと、多様な考え方や手法の存在を尊重しながら、現場で本当に役立つ実践力と、“支援者の人間力”を育てることを大切にしています。
どんなに優れた道具やメソッドがあっても、それを活かすのは「人」次第だと感じています。
だから私たちは、「道具を使いこなせる人財」を育てることこそ、何よりの使命と考えて、その理念をもとに活動しています。
「誰かのために力になりたいと願う、すべての実践者が心から安心して学び、共に支え合える環境にするか」
それが、私たちがこのお知らせを通して本当に伝えたかったメッセージです。
大切なことと思えばこそ、文章が長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただき、心より感謝申し上げます。
私たちの思いや立場を正しくご理解いただきたく、あえて丁寧にお伝えさせていただきました。
ご多忙の中にも関わらず、最後まで目を通してくださった皆さまに、深くお礼申し上げます。
どうか今後とも、互いを尊重しながら学び合える豊かな社会の実現に向けて、皆さまと共に歩んでいけますことを願っております。
当協会は「子どもの未来を科学する」という理念のもと、引き続き誠実に支援と教育に取り組んでまいります。
ご不明な点や不安に思われることがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
🔗 参考リンク(外部公式情報)
特許庁「商標の普通名称の考え方」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunsho/naming.html
消費者庁「不当表示に関する事例集」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/practical_guide/


























































